バックロードホーンスピーカーの解説ページ
| 1.バックロードホーンスピーカーと 一般(2ウェイ)スピーカーの違い ここで簡単なご質問をさせていただきます。 @強い力 と A弱い力 どちらが物を動かすのに楽でしょうか? 同様に @軽い物 と A重い物 どちらが楽に動くでしょうか? 答えはどちらも@ですね。 これをスピーカーに置き換えると A弱い力(非力な磁気回路)でA重い物(重い振動板)を動かすのが一般的な メーカー製スピーカー(バスレフ型や密閉型)のスピーカーユニット(低音用ウ ーファー)、 @強い力(強大な磁気回路)で@軽い物(軽量振動板)を動かすのがバックロー ドホーンスピーカーのスピーカーユニット(フルレンジ)です。
2.なぜバックロードホーンスピーカーか それではナゼどちらも@の方がいいのが分かっているのに、メーカー製スピーカーは どちらもAのスピーカーユニットを使用するのでしょうか?それは一般に販売されている サイズの大きさのキャビネットに取り付けた時に、低音が出なくなってしまうからです。 ですからユニットを低音用と高音用に分け(2ウェイタイプ)、低音のユニットはAにして 低音を出し安くします。こうすると能率(出力音圧レベル)が下がってしまうので、低音ユ ニットに合わせて高音ユニットに抵抗(アッテネーター)を入れて、システムとして能率を 下げてレベルを合わせているのです。
バックロードホーンスピーカーに使用するユニットはどちらも@。要するにスピーカーの 理想です。強力な磁気回路で軽量振動板を動かす・・・、しかしこの理想は大きな矛盾 を抱えます。低音が出にくくなってしまうのです。というか一般に販売されているサイズ のキャビに取り付けても、全くといっていいほど実用的な低音は出てきません。しかし バックロードホーンエンクロージャーに取り付けることによって、十分な低音を引き出す ことが出来ます。 『理想的なスピーカーユニットの実力を最大限引き出す』 これがバックロードホーンエンクロージャーなのです。
3.メーカーがバックロードホーンスピーカーを出さない理由
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| 長岡鉄男式バックロードホーンスピーカーの 魅力を徹底解剖する |
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| ステレオ誌特集記事より抜粋 長岡鉄男・著 |
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↓以下、『オーディオ評論の神様』と言われた故・長岡鉄男先生が 「ステレオ」
1989年6月号(工作特集号)に掲載された記事をそのまま抜粋させていただきます。
| なぜBHか? バックローデッドホーン、略してバックロードホーン、さらに略してBH。 今BHを作っているメーカーは日本にはない。海外でも極めて少ない。 なぜか。理由はたくさんある。低音が出ない。共振が多くピーク、ディッ プだらけでf特がフラットにならない。低音に時間的な遅れが出る。トラ ンジェント(立上り、立下り)が悪い。開口から余分な音が出てくる。ユニ ットの口径に比して巨大なエンクロージュアを必要とする。等々、要する にハイファイ用としては使い物にならない、ということでメーカーは見向き もしないのである。ではメーカーが採用している密閉やバスレフは本当 にいいシステムなのか?ものごとすべて一長一短、密閉やバスレフも 欠点を拾い出してこんなものはハイファイではないと一蹴することは容易 なのである。振動板が重く、磁気回路が弱いので、トランジェントが悪く、 音が鈍い。共振(f0)だけを頼りに低音を稼いでいるのでトランジェントが 悪い。ユニットに比してエンクロージュアが小さいので、エンクロージュア の板を通して音がもれやすいし、振動板の反動でエンクロージュアが動 きやすい。吸音材の使用で音が死んでいる。高音は軽い振動板で応答 が速いが、低音は重い振動板で応答が鈍く、低音に時間的な遅れが出 る。ウーファーのコーンは盛大に振動するが、ほとんどが空振りで、音圧 になる部分は少ない。大音量再生しようと思っても、コーンの振幅で制限 されてしまうので、基本的に大音量再生には向かない。能率も低い。密 閉、バスレフは一般にマルチウェイが常識であり、ネットワークやアッテ ネーターによる音質劣化が著しい。音が濁り、鈍くなり、Dレンジの問題 は致命的といってよい。重い振動板のウーファーにボーカル帯域のかな りの部分を受け持たせるので生々しい声の再生はまず不可能である。 その他、音源の分散、位相差、時間差、相互干渉といった問題も出てくる。 そこでBHのメリット。基本的には小口径フルレンジが主役であり、ネット ワークから開放される。振動板は軽く、磁気回路は強力、全域に渉ってト ランジェントがよく、位相差、時間差もない。ボーカルも生々しい。低域は 原則としてf0を頼らず、というよりf0を押さえこんで、ホーンの効果でオー ソドックスに再生するのでトランジェントがよく、またコーンの空振りがない ので、低音の大音量再生でも振幅は極小、パワーが入る上に高能率なの で圧倒的大音量再生が可能。一方、軽量振動板、強力な磁気回路、吸 音材ゼロ、後面が抜けている巨大エンクロージュアということから、微小 信号にも断然強く、従ってDレンジは市販システムに圧倒的な差をつける。 市販密閉、バスレフは振動板の実効質量(m0)とエンクロージュア重量 との比がせいぜい数百でしかないが、BHでは数千に達するので、ここで も桁違いのトランジェント、力強さが期待できる。能率は市販システムに 比べて10dB以上高いので、100Wのアンプが1kW以上のアンプなみの 力を発揮できることになり、この違いは極めて大きい。メーカー製スピーカ ーで絶対に聴けない音というのは、この能率の差によるところが大きい。 D-70にしてもスワンにしてもそうだが、一度しっかりしたBHの音を聴いて しまった人はメーカー製システムには戻れなくなるのである。 これほどメリットの多いBHをなぜメーカーは作らないのか、最初に挙げた 理由は実は建前である。古い教科書に書いてあったというだけのことで、 実験によって確認したものではないのである。古い教科書がまちがいだ らけだということは度々指摘してきたが、最近ではメーカーも同じ考えの ようだ。メーカーがBHを作らない理由、本音はこうだ。適当なユニットが 入手できない。キャリアもノウハウもないのでしっかりしたBHを設計でき ない。エンクロージュアが複雑で量産にのらない。コストもぐんと高くつく。 ユニットのわりにエンクロージュアが巨大なので売りにくい。市場ではエ ンクロージュアのわりにユニットの大きいシステムの方が売りやすいの である。30cm3ウェイで6万円なら売れる。しかし20cm1発でウン10 万円では売りにくい。今回製作したD-55にしても、メーカーが作ったら 30万円以下では売れまい。 |
| 「ステレオ」 1989年6月号(工作特集号) D-55の記事冒頭ページより抜粋 | |
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